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太陽光エネルギーを利用したエタノール燃料生成に成功

プレスリリースはこちら

150708.JPG この研究発表は下記のメディアで紹介されました。
<(夕)は夕刊 ※はWeb版>

◆7/10 NHK「ニュースほっと関西」
◆7/11 日本経済新聞、朝日新聞、毎日新聞、
     産経新聞
◆7/13 スマートジャパン※、ASCII.jp※、
?    環境ビジネスオンライン※
◆7/14 中国新聞
◆7/15 日刊工業新聞、Response.※
◆7/17 電気新聞※
◆7/18 財形新聞※
◆8/19 読売新聞(夕)
その他、地方紙等多数掲載

概要

 大阪市立大学 複合先端研究機構 人工光合成研究センター所長、天尾豊(あまお ゆたか)教授らのグループは、マツダ株式会社 技術研究所との共同研究において、太陽光エネルギーを利用して自動車用の低炭素燃料で注目されるエタノールを生成できる、新たな人工光合成技術の開発に成功しました。本内容は、下記の専門誌オンラインページに2015年7月2日(オランダ時間)に掲載されました。

<雑誌名>
 Applied Catalysis B: Environmental

<論文名>
 Ethanol synthesis based on the photoredox system consisting of
 photosensitizer and dehydrogenases

<著 者>
 Yutaka Amao (大阪市立大学)
?? Naho Shuto(大分大学)
?? Hideharu Iwakuni(マツダ株式会社)

<掲載URL>
 http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0926337315300096

 なお本研究成果は11月5~6日にウインクあいちで開催される、石油学会名古屋大会(第45回石油?石油化学討論会)にて発表予定です。

研究の背景

 科学技術の発展に伴って生じた温室効果ガスなどによる地球環境汚染、大量の産業廃棄物処理および石油?石炭などの化石エネルギーの枯渇という重大な問題については、次の世代のためにも早急に解決する必要があります。特に、環境低負荷型エネルギー循環システムの構築や、二酸化炭素を代表とする温室効果ガスを有効利用するエネルギー変換システムの開発は、今世紀中の取り組みが必須であると言えるでしょう。地球規模で削減目標を定められている二酸化炭素に関しては、排出を規制して削減することも考えられますが、逆に二酸化炭素を積極的に原料として利用し、有用物質に変換する方法の開発も重要な課題です。このような状況下で、太陽光エネルギーを利用し二酸化炭素を新たな燃料に変換する人工光合成技術が注目を浴びています。自動車等の次世代低炭素燃料として注目を浴びているエタノールを作ることができれば、新たな人工光合成系の応用技術になります。
 これまでに二酸化炭素を炭素数1のメタノールに変換する人工光合成系は報告されていましたが、炭素数をさらに一つ増やしたエタノールを作り出す技術には至っていませんでした。

研究の内容

 太陽光エネルギーを用いて二酸化炭素をメタノールやエタノールへ分子変換する技術が構築できれば、再生可能エネルギーの代表である太陽光エネルギーを利用し、二酸化炭素を有用な資源に取り込むことができます。私たちは二酸化炭素を出発物質として人工光合成技術を用い、エタノールを生産する反応系の構築に取り組みました。下図に示すような二酸化炭素とメタン(あるいはメタンの代わりにメタノール)から酢酸を生産し,さらに人工光合成技術を用いて酢酸からエタノールを合成することを考案し、実験の結果、成功しました。酢酸からエタノールを合成できる人工光合成技術の成功報告はこれまでに無く、今回我々が新たに成し遂げた成果です。この技術では、150分間太陽光を照射すると酢酸のおよそ5%がエタノールに変換されます。

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二酸化炭素を出発物質としたエタノール生産のための人工光合成技術

期待される効果

 これまで人工光合成技術を用いた二酸化炭素の分子変換技術は、その生成物が一酸化炭素、ギ酸、メタノール等炭素数が1のものに限られていました。上図に示す技術が達成できれば、燃料として実用がより期待されるエタノールを太陽光と二酸化炭素から作り出すことができるようになり、従来開発されている食糧等からのバイオエタノール生成技術と同等の新しい技術になりうるものと期待されます。

今後の展開について

 天然ガスであるメタンと二酸化炭素から酢酸を合成する技術を、酢酸菌等の利用により組み込むことで、太陽光と二酸化炭素からエタノール燃料を生成できる新たな人工光合成技術への展開に取り組む予定です。

本研究について

 本研究は、本学 人工光合成研究センターとマツダ株式会社 技術研究所による共同研究の成果です。